ネイティブの感覚を身につけるこつ

朝ラジオでニュースを聴いていると、必ず交通事故の情報を耳にします。

Cet accident de la route a entraîné la mort d’un homme de 50 ans.

この交通事故により、50歳の男性が死亡しました)

ところで、この文章で使われている動詞「entraîner」の響きには、マイナスのニュアンスが含まれています。

動詞「entraîner」は、「~を引き起こす」という意味で使われますが、その結果として「引き起こされるもの」には、たいていマイナスの要素が含まれます。

たとえば新聞で、「地球温暖化」に関する記事がありました。

Le changement climatique pourrait entraîner des impacts sur plusieurs aspects de notre vie.

(気候変動は、わたしたちの暮らしに様々な影響をもたらすだろう)

気候変動、つまり地球温暖化(le réchauffement climatique)により引き起こされる問題は、天候不順による農作物のへの影響1つをとってもマイナスの問題であることがわかります。

もしくは雑誌で、「健康問題」について書かれた記事がありました。

Le surplus de poids peut entraîner des problèmes de santé.(肥満は健康に支障をきたすことがある)

L’hypertension peut entraîner une crise cardiaque.(高血圧は心臓発作を引き起こすことがある)

動詞「entraîner」は、なにかと「マイナスの問題」との結びつきが強いことがわかります。

「~を引き起こす、もたらす」という意味の動詞は、それ以外にも apporter, conduire, provoquer… と数限りなくあります。

必ずしもプラスマイナスのニュアンスで区別できるわけではありませんが、たとえば動詞「apporter」の響きからは、プラスのニュアンスを感じます。

たとえば、CV(履歴書)と合わせるモチベーションレター(lettre de motivation)の中で、

Cette expérience m’a beaucoup apporté. などと書くことがあります。

この経験がわたしにたくさんの(プラスな)ものをもたらした、つまり「とても有意義な経験となりました」のようなニュアンスになります。

生活の中で聞いたり読んだりした具体的なフレーズの積み重ねにより、「apporter」はプラスのニュアンス、

「provoquer」はマイナスの響き、「conduire」はどちらでもない、つまり「neutre(中立)」などと、

「言葉のニュアンスを感じとる軸」のようなものができあがります。

この軸が増えてくると、フランス語で文章を作成するときに、言葉の音色を響かせながら「自分が伝えたい内容により適した言葉」を選択することができるようになります。

言葉の音色から、「その言葉の持つ色や重さ、質感を感じ取ることのできるバランス感覚」のようなものを、「ネイティブの感覚」と呼ぶのかもしれません。