フランス語のリズム

真似が上手な人は外国語が得意、と言われることがありますが、外国語を話すときにネイティブの人の耳にとって一番重要なものは、発音ではなく「リズム」であると言われています。

ひとつひとつの単語が正しく発音されていても、フレーズ全体にフランス語らしいリズムが刻まれていない場合、フランス人は眉間にしわを寄せて「通じない」と表情で伝えてくることがあります。

ではフランス語らしいリズムとは、具体的にはなにを意味するのでしょうか。

昔、パリの語学学校の発音の授業で、「お寺の鐘のような音をひたすら聴く」という授業がありました。その鐘の音は、「ドーン、ドドーーン、ドドドーーーン」のように余韻が長く響きます。

そして鐘の音を聴き終えるとフランス人の先生は、「この鐘の響き方がフランス語のリズムである」という説明をしました。

当時はあまり実感が湧きませんでしたが、それからフランス語のリズムを意識してみると、たしかにこの鐘の響きのような余韻を感じることがあります。

基本的には「単調なリズム」のフランス語ですが、語尾は「母音を響かせるようなイメージでやや伸ばしぎみに発音」します。つまり「鐘の余韻=母音を響かせた音」ととらえることができます。

たとえば、Comment allez-vous? は、「コモンタレヴー」と最後の「vous」をすこし長めに発音し、

Merci beaucoup. は、「メルシボク―」のように語尾を響かせます。

語尾を伸ばすことを意識するだけで、「フランス人らしいフランス語」に変化します。

そして「フランス語のイントネーション」ですが、基本的にフレーズの中では、一呼吸置くようなところや読点ではすべて上がり、最後だけ下がる(もしくは平行にとどまる)、という傾向にあります。

具体的なフレーズで確認してみましょう。

La semaine dernière, je suis allé(e) voir l’exposition Magritte au Centre Pompidou.

(先週、ポンピドゥー・センターにマグリット展を観に行きました)

一呼吸置くところにスラッシュで区切りを入れてみます。

La semaine dernière,/ je suis allé(e) voir/ l’exposition Magritte/au Centre Pompidou.

次にイントネーションを確認してみます。

La semaine dernière で上がり、voir と Magritte でも上がり、そして Pompidou では平行にとどまる、つまりまっすぐなイメージです。

どんなにフレーズが長くなっても、イントネーションの規則は基本的には変わりません。

上がって、上がって、上がって、最後は平行にとどまる(もしくは下がる)。

このイントネーションに加えて、それぞれ区切るところでは、語尾の母音をやや伸ばし気味に発音してみましょう。

不思議と、フランス人のフランス語の響きに近づきます。